ウサギ

野生のウサギ

 ある日、ダイニングの窓からぼんやり外を見ていると、なんだか道路の向かい側の草むらに動くものが…?交通量は多くはないけれど、比較的スピードを出して走る車も多い道路なので、気になって外に出て何だか確かめてみた。

 ウサギだった。ただ頭や耳にハゲがあるし、目も汚れている。きっと病気で弱っているのに違いない。それにしても、こんなに道路沿いにいてはいつ轢かれてしまってもおかしくないので、とりあえず動いてもらうことに。手を近づければ逃げてくれるだとうと思いきや、どうも目が見えない様子。私が近づいても一向に逃げる気配がない。これでは轢かれてしまう可能性が倍増である。
 
 仕方なく捕まえてみようとすると、あっけなく腕のなかにおさまってしまった。以前にもちょっと書いたように、野生のウサギは周辺にたくさんいて珍しいものではないが、実際に触るのはもちろん初めてである。でも思っていたよりずっと軽い。それに、ふかふかの柔らかい毛皮がなんとも気持ちよい。コートやバッグなどにも使われている「ラビットファー」そのものなのだが、こちらの方が毛も密だし、それ自体が暖かくて心地が良いのだ。

 ふかふかの軽いいのちを抱えながら、本来の目的であった、安全な草むらまで持っていって逃がしてやった(毛皮の感触が名残惜しかったが…)。
 
 無事に仲間と会って巣穴に帰ってくれれば、と思っていたが、2、3日後に再びこのウサギに、今度は玄関前で再会した。目も見えないのにどうやって道路を渡ったのか不思議だが、運がよかったのだろう。でもハゲが増えていて見るからに前回より衰弱している。

 後で聞いた話だが、病気になったウサギは巣穴から追い出されてしまうそうだ。仲間に伝染するのを防ぐためらしい。その際に、仲間から蹴られたり噛まれたりしてさらに痛手を負うことがあるとか。前回は良かれと思って巣穴のたくさんある方向に逃がしてやったが、もしかするとそれが裏目に出てしまったのかもしれない。かわいそうなことをしてしまった。

 ウサギは少しすると家の前に駐車してあった車の下にもぐってしまった。頭がつかえそうな位の高さに天井ができて、巣穴にいるのと似ていて安心したのかもしれない。ウサギの周りにおちているニンジンのかけらは、私が投げ入れてみたもの。それにも見向きもせず、身じろぎもしないでじっとしたままだった。
injured rabbit 冬はきっと越せないだろう…

 2、3、時間後にもう一度見てみると、もうどこかへ行ってしまっていた。

 草原を散歩していると、動物の亡骸をたまに目にすることもある。命を失ってしまった有機体を見ても、自然の摂理、弱肉強食と割り切ることができるし、それ自体は私の感情にあまり訴えてこない。 しかしながら、痛手を負いながらもまだ生きている動物を見るのは、切ないものだ。

 あのウサギ、まだどこかをさまよっているのか、それとも…。
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Easter Bunny

 とうとう3月中は一回もこちらを更新することなく、4月も半ばになってしまった。仕事で週末も出勤していたためだが、ありがたいことに4月に入って陽気が良くなると共に、普通の生活に戻ってきている。

 先週末はイースターで、6日(金)から9日(月)までの4連休だった。ヨーロッパでも国民の休日が最も少ないのではと言われる英国では、4連休でも大型連休である。ちなみに、イースターとはキリスト教でキリストの復活を祝うもので、'Good Friday'と称される金曜日から始まり、'Easter Monday'の月曜日で終わる。ただ日にちが一定しておらず、年毎に変わるので、イースター連休の予定を立てる時には年毎にカレンダーで確認が必要だ。また、'Good Friday'には魚介類を食べるという習慣があり、これはキリストが丘の上で少量の魚とパンを大勢の人々に分け与えたというエピソードからきている。だからこの日はレストランでも魚介類のメニューが増えるし、スーパーの鮮魚コーナーの品揃えも良くなるので、クリスチャンでなくとも日本人的には嬉しい日かもしれない。

 イースターが近くなると、「復活」になぞらえて卵の形をしたお菓子やディスプレイが増えてなかなかかわいいのだが、この他に目に付くのがウサギの形をかたどったチョコレートである。なぜウサギなのか、理由はよく知らない。
 下はロンドンのお菓子屋さんのイースター・ディスプレイ。残念ながらここでは卵を模ったお菓子ばかりで、ウサギは見当たりませんが。
Easter chocolate display_s

 イースター連休中に、天気が良いので家の周辺を散策していた時に撮った写真がこちら↓。左下から右上コーナーにかけての対角線上に、ウサギが4羽いるのがお分かりだろうか。もちろん、こちらはチョコレート製ならぬ本物である。
Bunnies

 家の前の斜面に沢山巣穴があるらしく、春先ということもあって、特に早朝や夕刻になると小さなピーターラビット達が親と一緒に駆け回っているのが家の窓からも見えるのだが、さすがに逃げ足が速いこともあって、うまく写真が撮れたのは今回初めてだ。

 見た目はかわいらしいのだが、折角庭に植えた花や苗木を食べてしまうという被害もある。遠くから見ているのが一番、というところだろうか。

Wallace & Gromit: The Curse of the Were-Rabbit (2005)

 観るまでは、子供向けの映画だと思っていた。
 ウォレス&グロミットと言えば、10年程前にプッチンプリンのCMに使われていたのを覚えている人もいるかもしれない。それでなくても、ウォレスとグロミットの憎めない顔を、どこかで見かけたことがある人は、多いと思う。

 もし私が日本でこの映画を観ていたら、きっと童話のような、ただの「お話」だと思ってしまっただろう。でも、ここに出てくる舞台設定その他も、実に英国の生活に根ざしているのだ。
 
 例えば、今回舞台となる、村で開かれる野菜の品評会。夏場、地方の小さい街や村では、自分の菜園で取れた野菜を持ち寄った品評会が開かれるところも沢山ある。BBCでその様子を見たことがあるが、この映画の登場人物達のように、皆さんとても真剣で、笑ってしまった。
Vegetable competition こんな感じ。

 グロミットも品評会に向けて、手塩にかけてスイカを育てている。その様子がいかにも愛らしい。
Gromit taking care of his watermellon_2

 でも村人達が困っているのが、ウサギ。品評会に向けて大事に育てている野菜を食べてしまうのだ。このウサギ達、確かに特に早朝にちょっと郊外へ行くと、あちこちで草をはんでいるのを、道路から見ることができる。まあ、このイメージは多少誇張しているが…、
rabbits

実際に以前、ウサギの食害がとある村で問題になっているという記事を、The Timesで読んだことがある(写真)。ウサギと言っても、これは’ウサギ人間(Were-rabbit)’ならぬ、’モンスターラビット’らしい。この記事は、いかにも英国らしいユーモアが楽しいので、時間のある方は是非オンラインでオリジナルを読んでみて欲しい。
A monster rabbit in a real world

 話を映画に戻そう。この映画、とにかく何が良いというと、ユーモア。もの言わぬ(犬ですから)グロミットをして、表情としぐさで語らせるアニメーションもすてきだが、せりふだけでなく、いかにも英国ならではのちょっとした小道具なども含め、あちこちにちりばめられたユーモアが、また楽しい。単純にげらげら笑うおかしさ、というレベルでなく、大人も十分楽しめる上質なユーモアだと思う。和みたい時にもお勧めの映画。

評価:★★★★★(5.0)
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