ジェスチャー

二本指のジェスチャー

 ここのところちょっと’ゆるい’内容の記事が続いたので、久々に英国らしい話題を書いてみよう。 

 写真に写るときに、ピースサインと呼ばれる、二本指をカメラに向ける動作をするのは、なぜか日本人特有の行動として世界的に有名らしい。これも最近は日本文化と一緒にアジア圏へ広がってきているようだが。

 このピースサイン、英語圏では恐らく’V(ヴィー)サイン’という呼び方の方が一般的だ。
これは、チャーチルが第二次世界大戦中後に勝利(Victory)を意味するシンボルとして使ったことに拠る。
Churchill_V_sign チャーチルのVサイン (Wikipedia 'V sign' より

 今年の夏にフランスをドライブ中、とある小さな田舎町で巨大なチャーチルのVサインの手だけの銅像、それも手首から上だけなのに2メートル以上はあろうかというものを見た。おそらく第二次世界大戦中に英兵によってドイツ軍から開放された地域のひとつだったのだろう。日本でこういった話はあまり知られていないかもしれないが、それくらい、このサインは戦争に絡んだものなのだ。

 気をつけたいのがこのVサイン、英国においては手の向け方によって大きく意味が変わってしまう。

 日本人の’ピースサイン’、あるいはチャーチルのVサイン、どちらも手のひらを相手側に向ける。これが、同じ手の形でも手のひらを自分側に向ける(手の甲を相手側に向ける)と、相手を侮辱する意味になるのである。
 指を二本使ったジェスチャーなので、このジェスチャーを呼ぶ際にはツー・フィンガーズ(two fingers)という言葉が使われたりする。そのまんまである。
 
Kes_fingers くれぐれも英国でこんなことをしないように~(殴られますよ)

 このジェスチャーの成り立ちというのが面白い。

 通説はこうだ。
15世紀にアジンコート(Agincourt)でイングランドとフランスが戦った百年戦争当時、イングランドの長弓(大弓とも呼ばれる)手は非常に手強いことで知られており、フランス軍は彼ら相手に苦戦したらしい。そのため、フランス軍は捕虜となったイングランド長弓手達の右手人差し指と中指を切断してしまった。この二本の指がなければ、弓は引けなくなる。これを知ったイングランド長弓手達は激怒して、フランス軍に向けて「俺たちはまだ指があるんだ。これにものを言わせてやるぞ」と言ったかどうかは知らないが、、、そういった意味で敵に二本指を立てて見せたのが始まりらしい。
 とは言え、これはあくまで通説で、歴史的にアジンコートの戦いが本当に起源かどうかには疑問符がつくそうなので、あしからず。

 こういった話を聞くにつけ、また実際の用法を見ても(笑)、このジェスチャーは相手を侮辱するというよりは、挑戦的・挑発的な態度を誇示するものと言えるだろう。

 他に相手を侮辱するジェスチャーとしては、手を’グー’の形にしてから中指を上に向けて立てるジェスチャーがよく知られている。ただし、これには性的な意味も含まれてることをご存知の方は多いはずだ。それと比較すると、この二本指ジェスチャーは性的は意味合いは含まないため、ある意味もう少し「品がいい」と言えるかもしれない(比較しての話。このジェスチャー自体は決してお品がいいものではないので、念のため)。

 このジェスチャーはイングランド(England)というローカルな領域が発祥地であるという歴史的背景から、英国とその旧植民地限定で知られている。だから、アメリカ人にはおそらく通用しないだろう。試したことはないが。
 そのためだろう、物知りウィキペディアによると(笑)、ジョージ・ブッシュ(父)大統領がオーストラリアを訪問した際に、Vサインのつもりでこの二本指ジェスチャーをやってしまったそうだ(爆)。それを目にしたオーストラリア国民は一体どういった顔をしたことか。。息子だけでなく、父親も人知れずこんなことをやらかしてくれていたらしい。

 皆さんもアメリカ大統領並みの失敗をしないように、英国にお越しの際にはどうぞお気をつけて。


 ちなみに、上記写真に使った映画「ケス(Kes)」はケン・ローチ(Ken Loach)監督による英国映画の名作の一つである。日本では全く知られていないと思われるので、そのうちこの映画の紹介もしてみたい。
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