2006年08月

サーキット ~カッスルクーム(Castle Combe Circuit)~

 前に触れたカッスルクーム(Castle Combe)だが、美しい村としての顔とは別に、その道ではレース・トラックの名前として知られてもいる。

 カッスルクーム・サーキットは、英国の有名なサーキットの一つであるシルバーストーン(Silverstone)とほぼ同時期の1950年に造られたそうだが、現在は特に大きなレースを開催している訳ではなく、一般に公開して色々なイベントを催しているのが主なようだ。
 
 私自身は元々モータースポーツには縁遠い人間だが、家人の要望と、私も普段お目にかからないような面白い車が見られることを期待して、7月にカッスル・クーム・サーキットを訪れてみた。
 サーキットに出る場合には、ヘルメット着用と長袖・長ズボンが義務付けられているので、今回のためにヘルメットも二人分購入した。とは言っても、私は同乗しただけで運転はしていないが…。

 確かに色々な車がいたし、レースの順番待ちの車を見ているのもなかなか面白かった。
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 下の車はケーターハム(私には’ケートラム’と聞こえるのだが、’ケーターハム’が日本での通称のようなので、そちらに準じておく)と呼ばれる車で、格好から分かるようにレース用の車だ。ケーターハムという名前は、これを製造している会社(Caterham)に由来する。同様のレース車を製造しているウェストフィールド(Westfield)という会社もあるが、ケーターハムの方がシェアが大きいのか、総じてケーターハムと呼ばれることが多いようだ。ちなみにどちらも英国の会社である。
 これらはもちろんレースに使用するのが本来だが、たまに一般道路をこれで走っている人も見かける。しかし、写真のようにフロントガラスが無いに等しいものが多い。レース・トラックではヘルメットを被るからいい。でも、田舎道を走れば虫を飲み込むことになるし(笑)、大きな公道では前の車の排気ガスを吸い込むことになる。その他いろいろ、一般道路での乗り心地は決して良くないはずだ。
 でもそんなことはともかくとして、軽くて小回りが利くから、レースには良い車らしい。
Caterham P1000446_ts.jpg

 日本でも紀宮さまの婚約以来、さらに人気が出たという(笑)ロータス(Lotus)。結構な数を見かけた。個人的にはロータスは割と新しい会社なのかと勝手に想像していたが、実は50年以上の歴史があるのをこちらで知って、ちょっと驚いた。
Lotus more Lotus

 こちらの黒い車は、やはり英国産スポーツカーのノーブル(Noble)。会社として車をリリースし始めてから、まだ7年程度だそうだが、スポーツ・カーとして高い評価を受けているようだ。
Noble

 他にも、TVRサガリス(Sagaris)やフェラーリ等々が並んで停まっているのも、サーキットならではの光景だろう。
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 日本人にも馴染みのあるミニ(Mini)だって、レース仕様になって走っていた。小さくても負けていないという感じで、かわいい。
Mini Mini on the race track

 こうやって書いていくと、英国車がほとんどのようだが、実際にはそんなことはなく、他に一般的な乗用車タイプも沢山走っていた(いろいろ改良しているのかもしれないが)。日本車に関して言えば、予想通りというか、三菱ランサーエボルーション(ランエボ)、日産スカイラインGT-R、マツダ、それにホンダはS2000やその他いろいろ(冗長になるので省略…)、など。

 サーキット自体は、ドニントン(Donington)などと比べると若干小さいという印象を受けたが、コースはそれなりに面白かったし、普段とは違うイベントの一日は、なかなか楽しかった。
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英国の田舎・その3 ~カッスルクーム(Castle Combe)~

 カッスルクーム(Castle Combe)は、英国で最も美しい村と言われているそうだ。これはリンク先のサイトによる文言で、このサイトはコッツウォルズ地方に含まれる地方観光局の作成なので、多少は手前味噌もあるだろうと思ったが、実はカッスルクーム村自体、イングランドで一番美しい村と自称しているのを発見した。かなりの自信だ(笑)。実際に美しい村であることは間違いないのだが。

 ただ、村は谷あいにひっそりと位置しており、また英国のポピュラーな観光地としては珍しく、方向を示すサインが出てるわけでもないので、訪れる際には事前に道のりをしっかりと確認した方がいいかもしれない。私の勤務地のチッペナムに近いこともあり、いつかは訪れたいと思っていたのだが、先日我々が行った時には、特にカッスル・クームを目指した訳ではなく、近隣のとある場所を訪ねていった途中で道に迷って村に行き当たったという、嬉しい偶然によるものだった。

 8月も下旬だが、雨が降った直後だったせいか、周辺の緑もみずみずしく、駐車場から村までの道のりも、緑のトンネルが爽やかだった。
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 大方のコッツウォルズ地方の街・村は、昔は羊毛・織物産業で栄えていた。チッペナムやカッスルクームも、かつては大きな市が立って大変賑わったそうだ。英国におけるそれら産業の衰退と共に、商業都市の地位を失って、それぞれの街も衰退するが、その後その風光明媚な街並みを資産として、現在のような観光地へとその足場を変えたのである。

 カッスルクームも、今の静かな佇まいから往時の様子を想像するのは難しいが、村の中心には、過去ここではそれなりに大きな市がたっていたことを示すものが残っている。真中の写真ほぼ中央の、三角屋根の石造りのあずまやのようなものが、それだ。チッペナムにも同じようなものがあり、チッペナムでは小さなマーケットが今でも週2回ほど、その周辺で開かれている。コッツウォルズ地方の他の地域でも同じものがあるのかどうかは知らないが、街や村の中心にこのような建築物があれば、恐らく昔市が開かれた場所だと思って間違いないだろう。ただ、このあずまやのようなものが、市でどのような役割を果たしていたのかは知らない。
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 今見るカッスル・クームは、大変こじんまりしている。村の端から端まで、恐らく300m程度ではないだろうか。それでも、我々が行った時には残念ながら閉まっていたが、村の博物館もある。とは言っても、上記カッスル・クームのウェブサイトの写真から察するに、要は村の歴史に関する資料が置いてある資料館のようなものらしい。内部は10畳程度の一部屋だけ。まぁ、こんなに小さな村では大きな資料館は必要ないだろう。この資料館、イースター(春)から10月までしか開館しないのだが、こんなに谷あいの村は冬は深々と冷え込むだろうし、ましてや雪が降れば訪れるのも(特に昔は)大変だろうと、なんだか納得した。

 下は、通りで見かけた、藤と花壇で縁取りされた窓際。春・夏の花時には、さぞきれいなことだろう。
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 宿泊して、こんな風景のなかでゆっくり英国の田舎の風情を楽しむのも一興だろう。実際、B&B(Bed & Breakfast)も結構あるようだし、マナー・ハウス(Monor House, 昔の地域の領主の館で、立派なつくりのものが多い)をそのまま使ったホテル/レストラン、その名も'The Monor House'もあって、こちらはかなり素敵だ。きっと値段も相応と思いきや、それほどでもない。しかし、世界一値段が高くて世界一サービスが悪いと評されるロンドンのホテルが私の比較対象なので、興味のある方は直接リンク先のサイトで値段を確認されたし。

英国の田舎・その2 ~レイコック(Lacock)~

 レイコック(Lacock)以前書いたチッペナムから4、5Km程南にある。ショッピングエリアやスーパーがあるチッペナムは、規模から言って街と呼んで差し支えないと思うが、Lacockは村と呼ばれるサイズだ。ここもコッツウォルズ地方の最南端に地名を載せており、その小さいながらも可愛らしい佇まいで、観光客を引き付けている。
Stitched_001_ms.jpg KIF_1883_m1s.jpg
街並みを楽しみながらぶらぶら歩いた後に、上の写真にも写っているような、紅茶とスコーンで一休みできるようなティー・ルームもいくつか見かけた。

 下は教会の裏にたまたま見つけたホテルの写真。'Lacock Pottery'と変わった名前だが、これはB&Bで、食事のレベルを示す赤いバラのマークと、ホテル施設のランクを示す星の看板から、宿泊施設だと分かる。入り口に張ってあった「カメを探しています」という張り紙がレイコックののんびりとした雰囲気を象徴しているようで、微笑んでしまった。ピクルスという名前が付けられたカメ、ホテルのマスコットだったのだろうか。これもそのうち機会があれば触れたいが、英国人は一般的にペットなどの動物をとても大切にする。極端な例が過激な動物保護団体の活動などに見られるが、「迷い犬」ならぬ「迷いカメ」の張り紙は、その英国人気質の一端を見せているようでもあり、面白かった。
KIF_1880_m1s.jpg Tortoise Lost

 レイコックで有名なのがレイコック・アビー(Lacock Abbey)。1232年に建設されたそうで、かれこれ750年以上の歴史を誇るアビーで、現在はナショナル・トラスト(National Trust)の管理下に置かれている。中には入らなかったので、手持ちの写真(左下)は塀の外から覗いたものだが(笑)、内部は天井の美しいラインが特徴的な建築物のようだ。
Lacock Abbey Lacock Abbey

このレイコック・アビー、色々な映画の撮影に使われているとかで、実はハリー・ポッター映画の第一作「ハリー・ポッターと賢者の石(Harry Potter and the Philosopher's Stone)」の撮影にも使われたそうだ。これに関してはこちらのBBCウェブサイトをどうぞ。

 半日もあればまわれてしまう位こじんまりしているので、カッスル・クーム(Castle Combe)(後日別途触れる予定)とセットで訪れるのもいいかもしれない。

[映画] ベルヴィル・ランデブー(Belleville Rendez-Vous) (2003)

 ヨーロッパ(といっても大陸側の話だが)では、自転車がずい分人々に身近な存在なように見受けられる。例えば、ベルギーに行った際、オランダのビーチにドライブに行く機会があった。その道中、週末だったこともあろうが、家族全員で、あるいは中年のカップルでサイクリングを楽しんでいる人々がずいぶん沢山いて、驚いた。ベルギーでも自転車は目についたが、なぜかオランダに入った途端に目に入る自転車の数がさらに増えたのだ。ただ田園地帯を通って行ったので、国境を越えると言っても特にサインがあるわけでもなく、バーやカフェのビールの看板ががハイネケンに変わるから、それと分かるだけなのだが(笑)。
 
 恐らく平らな地形も自転車がポピュラーな理由の一つなのだろうが、目的地のビーチ周辺では流れる自転車の数があまりに多くて、一瞬北京はこんな感じなのかと思ったくらいだ(大げさ)。でもビーチ前にぎっしりと止めてある自転車の中には洒落たものも沢山あり、またさりげなく凝ったアクセサリーを付けていたりして、人々がサイクリングも自転車自体も楽しんでいる様子が感じられた。

 もちろんオランダだけではない。7月にパリに行った際には滞在最終日がたまたまツール・ド・フランスの最終日で、タクシーの運転手もレース終盤の様子を熱心に話してくれた。そしてツール・ド・フランスと聞いて私が真っ先に思い出した映画が、この「ベルヴィル・ランデブー」なのである。

 映画の話をするのに、ずい分前置きが長くなってしまった(笑)。でも、日本人にはあまり馴染みがないツール・ド・フランスのような自転車レースも、大陸側ヨーロッパでは映画の題材にする位人気のあるスポーツなのだろうと、実際に目にして感じたからである。ちなみにいろいろなスポーツを発明した英国人は、自転車にはそんなに興味がないように見受けられる。代わりに、歩くのが好きだ。これについては、また別の機会に触れたい。

 シャンピオン少年は、おばあさんに育てられて平穏(?)幼少期を送るが、彼の情熱を勝ち得たものが自転車。出だしは三輪車だが、ツール・ド・フランスを目指して、おばあさんと訓練を重ねる。そして見事レース出場を果たすのだが、なんとレースの途中で悪者達にさらわれてしまう。そこで、おばあさんがペットの犬と共に、大事な孫を探しに冒険の旅に出る、というのが物語の大筋である。シャンピオンが主人公かと思いきや、実はこのおばあさんの大奮闘の方が物語のメインだ。
Belleville Rendez-Vous

 フランス人監督による、フランス、カナダ、ベルギー共同制作のアニメーション映画だが、セリフがないに等しい。だから登場人物の表情や情景描写がより引き立ってくるのだが、下の画像からも分かるように、クセのある画ははっきり言って雰囲気が暗いし、登場人物は極端にデフォルメされている。これはウォレスとグルミットのような無邪気なアニメーションではない。ブラックが入ったユーモアに多少のグロテスクさが加味されて、1930年代風ジャズを組み合わせた(この音楽がまた良い)、というのが全体の雰囲気だ。
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 ただ、これが観ていると独特の味わいで、笑わせられながらだんだん引き込まれていく。この風味、この後味、どこかで見たことがあると、観終わった後で思い出したのが、同じくフランス人のジュネ監督(Jean-Pierre Jeunet)の「デリカテッセン(delicatessen)」。暗い色調の画像、戯画化された人物達とブラック・ユーモア。この独特の処方は、フランス人好みなのだろうか。

 ディズニーやピクサー、ジブリだけがアニメーション・スタジオではない(どれも好きだが)。たまにはこんな違った雰囲気のアニメーション映画を観るのもいいと思う。私がこの映画を観た時には、日本人受けしなくて日本では公開されないのではないかとも思ったが、日本語の公式サイトを発見し、ミニシアター系でも公開された様子を見て、嬉しかった。

 フランス語原題は'Les Triplettes De Belleville'。オフィシャルサイトにも表示があるが、いろいろな賞を受賞している。

評価:★★★★☆(4.0/5.0)

晩夏の田園風景

 7月中は30度を超える暑い日が続いて閉口した。といっても、暑気と湿気が同時に襲う日本の夏に比べれば不平を言っている場合ではないのかもしれないが、例年よりかなり暑かったこともあり、エアコンが通常装備されていない英国の環境では、結構つらいものがあった。
 それが8月に入ってから暑さが和らいで、最近は大分過ごしやすくなった。日本の暦的には晩夏と言ってもおかしくない時期になろうとしているので、単に季節が移っているといえば、そうなのかもしれない。
 
 通勤路沿いの麦畑も、既に刈り取りが終わったところも多い。これまでの猛暑と少ない降水量のせいだろうか、7月下旬頃になって一気に景色が黄色っぽく変わっていったようだ。
 麦の刈り取りが終わると、畑に麦わらだけ残し、それを後日別の農作機で下の写真のようにロール状や豆腐のような形にまとめてから運送する。場合によっては2、3日で運ばれていってしまうこれらの麦わら束だが、だだっ広い畑に妙に正確な幾何学形の立体がぽつぽつと並んでいる様は、周辺ののどかな田園風景と対比してなんだかシュールな光景だ。

Hay rolls 213578809_3b13291a9e_b.jpg 213562652_900ce22f79_b.jpg

呂氏春秋-六験

 Mixiその他を通じて、自分一人では知ることも無いだろう貴重な言葉を目にする機会がある。今日は中国古典による人物鑑定法について、興味深い文章を読ませてもらった。「呂氏春秋」によるもので、以下6項目を指して「六験」と言われるそうだ。

1.「これを喜ばしめて、以って其の守を験(ため)す」
   何を喜び、どのように喜ぶかで、大切にしていることがわかる。
2.「これを楽しませて、以って其の癖を験す」
   何を楽しみ、どのように楽しむかで、心の偏りがわかる。
3.「これを怒らしめて、以ってその節を験す」
   何を怒り、どのように怒るかで、節度がわかる。
4.「これを懼(おそ)れしめて、以って其の特(独)を験す」
   何を恐れ、どのように恐れるかで、自律性がわかる。
5.「これを哀しませて、以って其の人を観る」
  何を悲しみ、どのように悲しむかで、深い本性がわかる。
6.「これを苦しましめて、以って其の志を観る」
   何を苦しみとし、どこまで苦しみに耐えられるかで、志がわかる。

 簡潔な表現で真をついた言葉だと思う。他人に当てはめるのが本来の人物鑑定の趣旨なのだろうが、私は思わず読んだ後に自分に当てはめてみてしまった。

 なお、呂氏春秋では上記の「六験」以外に「八観」という人物観察法についても述べられており、通常は「八観六験」と両方セットで触れられることが多いようだ。
 一応「八観」も以下に挙げておく。

1.「通ずれば、その礼するところを観る」
   少し自己がうまくいきだした時に、どういうものを尊重するか、
   金か、位か、知識か、技術か、何かということを観る
2.「貴ければ、その挙ぐるところを観る」
   地位が上がるにつれて、その登用する人物を見て、その人物が解る
3.「富めば、その養うところを観る」
   たいていは金ができると何を養いだすか、これは誰にも分かりやすいこと
4.「聴けば、その行うところを観る」
   聴けば、いかに知行が合一するか、あるいは矛盾するかを観る
5.「止まれば、その好むところを観る」
   止まるは俗に言う板についてくるの意
6.「習えば、その言うところを観る」
   習熟すれば、その人の言うところを観る、話を聞けばその人の人物・心境がよく分かる
7.「貧すれば、その受けざるところを観る」
   貧乏すると何でも欲しがるというような人間は駄目である
8.「窮すれば、そのなさざるところを観る」
   窮すれば何でもやる、恥も外聞もかまっておられぬというふうになりやすい

 たまには、こういう言葉と共にふと立ち止まって振り返る時間を持ちたいと思う。

英国の田舎・その1 ~チッペナム(Chippenham)~

 ほぼ毎日、A4という道路を使ってチッペナム(Chippenham)という小さな街へ通勤している。この通勤途上にはチャーミングな田舎街や遺跡等々が多く、これから少しずつ紹介していきたいと思う。

 最初は私の通勤先のチッペナムから。ここはローマ風呂で有名なバース(Bath)から20km程北東の街である。
Chippenham Highstreet

 上の写真からも窺えるように、現在ののんびりとした街の佇まいからは想像もつかないが、9、10世紀にはアングロサクソンの首都として、戦略的に相当重要な拠点だったことを始めとして、古い歴史を持つ街らしい。でも現在はただの田舎街で(笑)、一応ツーリスト・インフォメーション・センターがあるものの、正直特にこれといった観光名所があるわけでもない。それでも、日本人にも観光先として大変人気のあるコッツウォルズ(Cotswolds)地方の南端の街だけあり、街周辺にはコッツウォルズ地方の特色である、蜂蜜色(黄みがかった明るいクリーム色)の石を使った建物があちこちに見受けられる。また現在もオフィスとして何気なく使われている建物も、実は16,17世紀の建築年が刻まれていたりして、驚くことがある。
Church trimmed_s.jpg P1010223_s.jpg

 一つ難を言えば、英国の田舎町と言えばおいしいクリーム・ティを出すティールームがあると、英国の田舎街という雰囲気が多少盛り上がるように個人的には思うのだが、いまだチッペナムでそのような場所を見ない。

 このクリーム・ティ(Cream Tea)とは、紅茶にクリームが入っている訳ではなく、スコーンにクロテッド・クリーム(Clotted Cream)とジャム(多くはイチゴジャム)が添えられたものを紅茶と一緒にいただくものである。クロテッド・クリームは軽くなったバターのような食感で、相当こってりしているが、食べる際にクリームのカロリーなど気にしてはいけない。スコーンにクリームをたっぷり塗って食べると、これが実に美味しいのだ。この味が忘れられず、日本に帰ってからクロテッド・クリームを探してさまよう人も多いらしい。
Cream Tea

 なんだかチッペナムから話がそれてしまったが、以前「地球の歩き方」を持って歩いている日本人観光客をチッペナムで目撃して、「特に見るものもないのに、よくこんな辺鄙なところまで…」と仰天した位なので、今回は単にチッペナムに関して話が続かなかっただけかも(笑)。

[映画] セレニティ(Serenity) (米、2005)

 本国米国でヒットを飛ばし、日本でも人気が出るTVドラマシリーズは多い。ここ数年(?)で言えば、「ER」、「フレンズ」、「セックス・アンド・シティ(Sex and the City)」、「24」等々だろうか。その裏で不人気のために消えていくTVドラマは、星の数ほどと言わずとも、かなりの数に上ることは間違いない。
 
 実は「セレニティ」も、もともとは低視聴率(スポンサーの嗜好に合わなかったとも)を理由に作製がキャンセルされた、そんなTVドラマシリーズの一つで、TVシリーズの名前は「ファイアーフライ(Firefly)」。かろうじてTVシリーズのDVDが発売されているが、もちろん1セットしかない。しかし、TVシリーズに惚れ込んだ数多くのファンのサポートによって、その後映画化が実現するという、実に稀有なプロセスを経て作製された映画なのだ。このファンの’コア’さ加減は、ウィキペディアの'Firefly'の項を見てみると分かりやすいかもしれない。シーズン10まで出した'Friends'と張り合えるくらい、詳細な書き込みがされている(笑)。

 はっきり言ってこの映画、有名な役者も出ていないし、物語の舞台自体、SFアクションにもウェスタンの風味を足して2で割ったような感じである。これだけでもうB級映画の匂いがする(笑)。

 でもこれが面白い。

 スター・ウォーズのハン・ソロを思わせるような(と思ったのは私だけかと思いきや、やはりどうもハン・ソロのイメージもキャラクターの下地としてあったらしい)、ヒーローではないが船・セレニティとクルー達を何より大切にしているキャプテンをはじめとする、個性際立つ登場人物達。それに加えてユーモアが効いた脚本が、観ていて飽きさせない。映画制作の事情が事情だったこともあり、かなりの低予算だったと聞くが、CGや特殊効果にも手を抜いた安っぽい様子が見受けられない。また、TVドラマシリーズでのエピソードが物語の前提になっているのはもちろんだが、シリーズを観ていない観客にも十分楽しめるように出来ている(もちろんシリーズを観ておけば、一粒で2度、3度おいしいのは確かだが)。
serenity_.jpg serenity.png

 結局、映画レビューでも高い評価を受けただけでなく、観客のハートをがっちりつかみ、なんと英国での劇場観客による投票で2005年映画の1位に輝くという成功を収めてしまった。しかもトップ10に並ぶ他の映画と比べて、2、3週間という短い劇場公開期間にも関わらずである。映画のDVDの売れ行きも相当伸びたらしい。
 
 ただ残念なことに、「セレニティ」は日本では劇場公開されていないし、そもそも本場米国で途中でキャンセルされたTVドラマシリーズ「ファイアーフライ」が日本で知られることも無いと思われる。ただここまで読んで興味が湧いた方は、こちらのサイトでTVシリーズ・映画共に関してもう少し詳しい日本語解説があるので、参考にして頂きたい(手抜きですみません…)。

 日本で知られざる娯楽映画の秀作の一つとして、オススメの作品。

評価:★★★★(4.5/5.0) 
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