2007年02月

白鳥に関する意外な事実

 日本では行くところに行かないとなかなかお目にかからない白鳥。なぜか英国では割と普通に見かける。越冬のルートにあたるのかもなどと思ったりしたが、一年中見かけるのでどうもそういう訳でもないらしい。
swans on water

 この白鳥、実は英国では保護動物である。別に絶滅の危機に瀕している訳ではない。王室(正確には王あるいは女王)によって保護されているのである。

 この保護の歴史は古く、1186年から「王家の鳥」としての保護が始まったという。やはり見目麗しい鳥だから保護したのかと思いきや、驚く無かれ、当初は食用にするための保護だったというのが実際のところらしい。そこら辺のカモと比較しても大きな鳥である。納得できる話だ。味気ない話、王族のための特別な「美しい家畜」のような位置づけだったのではないかと思われる。個人的には、理論でない、感傷的・感情的な動物保護の話がまかり通る現代と比較すると、実際的な立場から始まった白鳥保護だったと知って、大変好感も持ち、面白くも思った話である(私は動物虐待等には反対ですので、念のため)。

 この白鳥保護は21世紀の現代にも法律として生きており、よって市民は白鳥の姿を楽しみこそすれ、いかなる手段でも白鳥に危害を与えることは犯罪となる。何せ相手は王家の紋章を背負っている鳥なのだ(←大げさ)。これは一般常識として英国市民に知られている。

 だから、下図ア.のように水上に美しく漂っている白鳥は人々にその姿を楽しまれるのだが…、
395880352_6fae46d696_b.jpg 図ア. 水辺の白鳥。絵として正しい(笑)。ウィンザーにて
a swan on a road 図イ. 街中の歩道を歩く白鳥。どう見ても場違い。

上図イ.のように街中や道路を歩く物好きな白鳥は、時により英国市民にとって迷惑この上ない存在ともなりうるのだ。

 「はいはい、白鳥ねー。結構迷惑なんですよ。どこにでも降り立つし。ほら、高速なんかだと、全部車を止めて捕まえないといけないしね(ケガさせるわけにいかないでしょ)。うちにもね、白鳥専門の部隊があるんですよ。いまから出動させますから。」とは、ガソリンスタンド前で歩道をウロウロしていた白鳥(図イ)に関する通報に対しての、婦人警察官の応対である。

 そう、万一車道を歩かれたりしようものなら、交通は止まってしまう。なにせ相手は保護動物。轢いたりすることはもってのほかだ。白鳥による交通渋滞という話も冗談でなく、実際に起こっている
 それにしても警察に白鳥の専門部隊があるとは、今回初めて聞いた。一体どんな部隊なのか、それはそれで個人的に興味津々である。

 この保護動物・白鳥を巡っては、他にも面白い話を読んだことがある。古い話になるが、女王の音楽長官(?、原語は'Master of the Queen's Music')が、自宅付近で事故死した白鳥を使ってテリーヌを作ったというニュースである。本人曰く、「折角の肉が勿体無いと思った」からだそうだ。白鳥保護の起源を考えると、食肉としてテリーヌをつくるのもあながち間違っていないのかもしれないが、よりにもよってこの御仁(一応'Sir' の肩書きを持つ人ではあるが)、白鳥の件で取調べに訪れた警官達に、お手製の白鳥のテリーヌを勧めてしまったらしい(爆)。よほど味に自信があったのだろうか…。もちろん、警官達はテリーヌには手を付けなかったのだが。
made swan terrine 得意料理はテリーヌ。

 話を読む限りでは本人は悪い人ではなさそうだが、少々ピントがずれていたと思われる。また、事故死した白鳥を食べたことで罰せられたのかどうか、それも気になるところだが、残念ながら後日談は不明だ。

 上に記した白鳥の保護の歴史とそれにまつわる行事については、日本の宮内庁に相当する部署の子供向けウェブページにより詳しい説明があるので、興味のある方は読んでみて欲しい。
 英国で白鳥を目にする機会があれば、こんなトリビアを思い出しながら眺めると、きっとまた違った風景が見えてきて面白いと思う。
スポンサーサイト

春の気配

 家の周りで可憐な白い花が咲き始めた。スノードロップ(Snowdrop)という名前らしい。名前の通り、真っ白な釣鐘型の花弁が愛らしい。

 まだ寒い日が続くが、時々湿った空気に微かな春の匂いを感じるようになった。春の訪れも、もうすぐだ。
396888120_9597404187_b.jpg 群生しているスノードロップ

Snowdrop

味噌

 海外で、しかも田舎に暮らすと、日本食材などはまず手に入らないだろうと思っていた。過去形なのは、少々なら手に入ることが分かったからだ。

 大手スーパーによっては、日本米も「寿司セット」なるスノコや海苔等をパッケージにしたものと一緒に棚に並んでいるし、また以前にはとあるスーパーで期限切れのワカメやヒジキが並んでいるのを発見して苦笑したことがある。商品を揃えた努力は認めてあげたいが、お客にも、店にすらも顧みられないかわいそうな存在だったのだろう。それにしても乾物で期限切れとは、いったいどれだけ長い間棚に並んでいたのか…。

 あとは自然食料品店。これはこちらに長く暮らしている人から教えてもらったのだが、確かに海外では「日本食=健康的」というイメージが定着しているだけあって、日本食材を買うような人はそれだけ「有機」や「マクロビオティック」等々のキーワードに敏感な人達なのだろう。

 そういった自然食料品店で見つけたのが、味噌である。しかも有機味噌。味噌汁など長らく口にしていなかったので、試しに購入してみた。右の'Brown Rice Miso'がいわゆる普通の(米)味噌、左の'Barley Miso'は麦味噌。
Miso

 まだ麦味噌しか試してないが、普通においしい、まっとうなお味噌である。海外で販売されている味噌はマユツバな気がしたのだが、いい意味でその期待を裏切られた形だ。お値段は約4ポンド(800円程)。英国での一般物価を考えると、海外の珍しい食材の価格としてはそこそこ妥当な値段だろう。

 この味噌を出しているクリアスプリング社(Clearspring)によると、実はこの味噌は仙台で製造されているという。確かに、ビンにも日本製である旨が記されている。
 調べてみると、この味噌を製造しているのは仙台味噌醤油株式会社(ジョウセン)というところ。道理で、きちんと味噌の味がすると感じたわけである。また、ヨーロッパにおける「有機」の基準は日本のそれよりも厳しいと聞く。日本で製造しながらにしてその基準もクリアしているのだから、相当頑張っているのだろう。

 個人的には、海外にいながらにしてちゃんとした日本のお味噌が手に入るのは嬉しいこと。それに目の前の味噌がはるばる仙台から飛んできたのだと思うと、大事に食べようとも思う。
 ジョウセンさんにはこれからも頑張って欲しい。

 昨日(8日)の朝、外が真っ白だった。
初雪だったわけではないが、地面が見えなくなるほど雪が降ったのはこの冬初めてである。
385846676_9ab4d4741b.jpg

この地域に長らく住んでいる人によると、十年ほど前までは冬場に雪に降り込められて普通の車では走れなくなると、道路が再開するまで雪の中に閉じ込められてしまうこともあったという。それに比べれば全く大した量の雪ではないのだろうが、雪上運転にまだ自信の無い私は、さっさと自宅勤務にしてしまった(笑)。

 しかし今回の雪のために、地域によっては(私の住んでいる地域より当然多くの積雪のために)学校が休校になったり、また空港も閉鎖されたりする影響がでた。テレビやラジオでも道路や交通機関の状況を細かく伝えていたが、多少の雪で日常生活にこれだけの影響が出てしまうとは、脆弱な現代社会である。

 それにしても、暖かい部屋の中で暖炉の火に薪をくべつつ、のんびり外の雪を眺めて過ごすことが出来るのは、東京での生活を思えば田舎暮らしの贅沢としか言いようがない。その東京では、まだ初雪が観測されていないと聞いた。暖炉の火だけでなく、そのうち冬場の雪景色すらも、行くところに行かないと楽しめないようになるのだろうか。
385847121_9f91b7e279.jpg
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。