2007年10月

二本指のジェスチャー

 ここのところちょっと’ゆるい’内容の記事が続いたので、久々に英国らしい話題を書いてみよう。 

 写真に写るときに、ピースサインと呼ばれる、二本指をカメラに向ける動作をするのは、なぜか日本人特有の行動として世界的に有名らしい。これも最近は日本文化と一緒にアジア圏へ広がってきているようだが。

 このピースサイン、英語圏では恐らく’V(ヴィー)サイン’という呼び方の方が一般的だ。
これは、チャーチルが第二次世界大戦中後に勝利(Victory)を意味するシンボルとして使ったことに拠る。
Churchill_V_sign チャーチルのVサイン (Wikipedia 'V sign' より

 今年の夏にフランスをドライブ中、とある小さな田舎町で巨大なチャーチルのVサインの手だけの銅像、それも手首から上だけなのに2メートル以上はあろうかというものを見た。おそらく第二次世界大戦中に英兵によってドイツ軍から開放された地域のひとつだったのだろう。日本でこういった話はあまり知られていないかもしれないが、それくらい、このサインは戦争に絡んだものなのだ。

 気をつけたいのがこのVサイン、英国においては手の向け方によって大きく意味が変わってしまう。

 日本人の’ピースサイン’、あるいはチャーチルのVサイン、どちらも手のひらを相手側に向ける。これが、同じ手の形でも手のひらを自分側に向ける(手の甲を相手側に向ける)と、相手を侮辱する意味になるのである。
 指を二本使ったジェスチャーなので、このジェスチャーを呼ぶ際にはツー・フィンガーズ(two fingers)という言葉が使われたりする。そのまんまである。
 
Kes_fingers くれぐれも英国でこんなことをしないように~(殴られますよ)

 このジェスチャーの成り立ちというのが面白い。

 通説はこうだ。
15世紀にアジンコート(Agincourt)でイングランドとフランスが戦った百年戦争当時、イングランドの長弓(大弓とも呼ばれる)手は非常に手強いことで知られており、フランス軍は彼ら相手に苦戦したらしい。そのため、フランス軍は捕虜となったイングランド長弓手達の右手人差し指と中指を切断してしまった。この二本の指がなければ、弓は引けなくなる。これを知ったイングランド長弓手達は激怒して、フランス軍に向けて「俺たちはまだ指があるんだ。これにものを言わせてやるぞ」と言ったかどうかは知らないが、、、そういった意味で敵に二本指を立てて見せたのが始まりらしい。
 とは言え、これはあくまで通説で、歴史的にアジンコートの戦いが本当に起源かどうかには疑問符がつくそうなので、あしからず。

 こういった話を聞くにつけ、また実際の用法を見ても(笑)、このジェスチャーは相手を侮辱するというよりは、挑戦的・挑発的な態度を誇示するものと言えるだろう。

 他に相手を侮辱するジェスチャーとしては、手を’グー’の形にしてから中指を上に向けて立てるジェスチャーがよく知られている。ただし、これには性的な意味も含まれてることをご存知の方は多いはずだ。それと比較すると、この二本指ジェスチャーは性的は意味合いは含まないため、ある意味もう少し「品がいい」と言えるかもしれない(比較しての話。このジェスチャー自体は決してお品がいいものではないので、念のため)。

 このジェスチャーはイングランド(England)というローカルな領域が発祥地であるという歴史的背景から、英国とその旧植民地限定で知られている。だから、アメリカ人にはおそらく通用しないだろう。試したことはないが。
 そのためだろう、物知りウィキペディアによると(笑)、ジョージ・ブッシュ(父)大統領がオーストラリアを訪問した際に、Vサインのつもりでこの二本指ジェスチャーをやってしまったそうだ(爆)。それを目にしたオーストラリア国民は一体どういった顔をしたことか。。息子だけでなく、父親も人知れずこんなことをやらかしてくれていたらしい。

 皆さんもアメリカ大統領並みの失敗をしないように、英国にお越しの際にはどうぞお気をつけて。


 ちなみに、上記写真に使った映画「ケス(Kes)」はケン・ローチ(Ken Loach)監督による英国映画の名作の一つである。日本では全く知られていないと思われるので、そのうちこの映画の紹介もしてみたい。
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野生のウサギ

 ある日、ダイニングの窓からぼんやり外を見ていると、なんだか道路の向かい側の草むらに動くものが…?交通量は多くはないけれど、比較的スピードを出して走る車も多い道路なので、気になって外に出て何だか確かめてみた。

 ウサギだった。ただ頭や耳にハゲがあるし、目も汚れている。きっと病気で弱っているのに違いない。それにしても、こんなに道路沿いにいてはいつ轢かれてしまってもおかしくないので、とりあえず動いてもらうことに。手を近づければ逃げてくれるだとうと思いきや、どうも目が見えない様子。私が近づいても一向に逃げる気配がない。これでは轢かれてしまう可能性が倍増である。
 
 仕方なく捕まえてみようとすると、あっけなく腕のなかにおさまってしまった。以前にもちょっと書いたように、野生のウサギは周辺にたくさんいて珍しいものではないが、実際に触るのはもちろん初めてである。でも思っていたよりずっと軽い。それに、ふかふかの柔らかい毛皮がなんとも気持ちよい。コートやバッグなどにも使われている「ラビットファー」そのものなのだが、こちらの方が毛も密だし、それ自体が暖かくて心地が良いのだ。

 ふかふかの軽いいのちを抱えながら、本来の目的であった、安全な草むらまで持っていって逃がしてやった(毛皮の感触が名残惜しかったが…)。
 
 無事に仲間と会って巣穴に帰ってくれれば、と思っていたが、2、3日後に再びこのウサギに、今度は玄関前で再会した。目も見えないのにどうやって道路を渡ったのか不思議だが、運がよかったのだろう。でもハゲが増えていて見るからに前回より衰弱している。

 後で聞いた話だが、病気になったウサギは巣穴から追い出されてしまうそうだ。仲間に伝染するのを防ぐためらしい。その際に、仲間から蹴られたり噛まれたりしてさらに痛手を負うことがあるとか。前回は良かれと思って巣穴のたくさんある方向に逃がしてやったが、もしかするとそれが裏目に出てしまったのかもしれない。かわいそうなことをしてしまった。

 ウサギは少しすると家の前に駐車してあった車の下にもぐってしまった。頭がつかえそうな位の高さに天井ができて、巣穴にいるのと似ていて安心したのかもしれない。ウサギの周りにおちているニンジンのかけらは、私が投げ入れてみたもの。それにも見向きもせず、身じろぎもしないでじっとしたままだった。
injured rabbit 冬はきっと越せないだろう…

 2、3、時間後にもう一度見てみると、もうどこかへ行ってしまっていた。

 草原を散歩していると、動物の亡骸をたまに目にすることもある。命を失ってしまった有機体を見ても、自然の摂理、弱肉強食と割り切ることができるし、それ自体は私の感情にあまり訴えてこない。 しかしながら、痛手を負いながらもまだ生きている動物を見るのは、切ないものだ。

 あのウサギ、まだどこかをさまよっているのか、それとも…。

冬の日差し

 10月も半ばを過ぎて、めっきり寒くなった。朝通勤前には、車のフロントガラスの霜をかかなくてはならないこともあるほどだ。日も毎日短くなっており、冬がすぐそこなのを感じる。晴れていても日差しにぬくもりをあまり感じなくなったと思うのは、気のせいではないだろう。

1760593964_636f58e231.jpg

 落ち葉がのったガーデンセットというのは、季節の移り変わりと共に、なんだかうら寂しさも感じさせる。

乗馬のレッスン

 犬が来てからというもの、以前より今住んでいる村(総人口140名そこそこで、とても小さい)の人々に会う機会が増えた。犬の散歩に出るからだ。

 この写真はそんな散歩の途中の一こま。この一行は、小さなポニー(これで立派な大人)に小さな女の子を乗せての散歩の途中に、ブランコで一休みしていたらしい。こんなかわいいポニーでこんな小さな頃から乗馬を始めるなんて、微笑ましいのと羨ましいのとで、しばらく立ち止まって眺めさせてもらった。
Poney

 別の機会にこの女の子が実際にポニーに乗っているところを見かけたが、帽子をかぶり、姿勢もなかなかで、見かけは一丁前(笑)。でもさすがに手綱は女性に取ってもらっていたようだ。
 こういうかわいいミニチュアライダーが、きっと将来颯爽と馬を乗りこなすようになるのだろう。

海岸へピクニック

 9月半ばに一週間、遅い夏休みを取った。8月は涼しい日が多く、夏とは思えないような天気が続いたが、9月に入ってから少々持ち直したようである。そこで取った休暇、せっかくだから海岸に遊びに行こう、ということになった。

 目的地はこちら(リンク先に地図)、イングランド南西部はドーセット(Dorset)の海岸である。浸食できた地形でも有名なラルワース・コーヴ(Lulworth Cove)とダードル・ドア(Durdle Door)に行ってみた。

Lulworth Cove Colourful boats
Lulworth Cove
。上記リンク先のGoogleの衛星写真でも分かるように、見事な円形の湾である(Coveとは日本語で入り江の意)。外海から切り離された静かな水上には、色鮮やかなボートが沢山浮かんでいてきれい。

 ラルワース・コーヴから少し車で移動すると、侵食によってできたゲートのような形をしたダードル・ドア(Durdle Door)も見ることができる。
Durdle Door The Man O' War
ダードル・ドア(左)と、すぐ隣のマン・オ・ウォー(The Man 'O War)(右)。
晴れていたらもっと水の色も鮮やかできれいだったろうが、残念ながら曇り空の下での撮影。

 このLulworth CoveとDurdle Doorも含まれるこのドーセットからイースト・デヴォン(East Devon)の海岸一帯は185万年前の恐竜時代の地層が露出しており、ユネスコの世界遺産にも登録されている。写真でも分るように地層が隆起によって露出しているので、化石探しにもいい場所らしい。

layers coast line
 
 我々が訪れたのは9月も中旬で、一応オフシーズンに差し掛かっていた筈だが、それでも観光客で賑わっていた。これで夏のハイシーズンだったら、芋洗い状態になるのだろう。

 海岸沿いは波も静かで水深も浅いため、他にも犬を連れてきている人が沢山。ただ時期的に、水は冷たいという程ではないものの、海水浴するほどは暖かくはないため、泳いでいるのは犬ばかりだった(笑)。
1472587656_1753936400_b.jpg 初めての海を楽しむケイリー
fetch the stick 泳ぎがたくみなレトリーバー(拡大してどうぞ)

 海岸からの帰り道に、夏の終わりを感じさせる風景も。
End of summer Fisherman's house

 波打ち際の石はみな波に洗われて、穏かな丸い顔をしたものばかり。この日の土産に拾って帰った石は、今窓際に飾ってある。
Pebbles

Local Cooling - サイト不具合?

 以前書いた、PCの消費電力節約ソフトウェア「Local Cooling」の記事を検索してこちらを訪れてくださっている方が沢山いらっしゃるようだ。こういったソフトに関心を持つ方が大勢いらっしゃるのは、大変嬉しいこと(なお、元ネタはかの百式さんです)。

 ただ残念なことに、Local Coolingのサイト自体がここのところ落ちてしまっているようだ。アクセス数の急増によるものなのか、他の要因によるものなのか分からないが、興味のある方は後日トライしてみるといいかも知れない。
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