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日本はアジアじゃない?!

 英国には移民が多い。と聞くと、日本人には比較的意外かもしれない。人・モノ・金が国境を越えて自由に動くEU圏内に英国が位置しているから、というだけが理由ではない。EUの他国と比較しても多くの海外移民を受け入れている。

 参考までに、米CIAの'The World Factbook'(簡単に世界各国の地理、国勢等々の情報が手に入るので便利)で数字を見てみると、UKの人口に占める移民の割合は0.218%。ちなみに、米国は0.318%。日本は0.0%となっているのは、もっと小数点以下を増やさないと値を示せない程、日本における海外移民の数が少ないということだろう。

 英国への移民が多いのは、大英帝国時代の旧植民地だった国々からの移民が多いことも理由の一つだが、移民が多いということが一般的前提となっているため、有権者登録等の公式書類に記入する際、個人の人種・民族区分(ethnic group)を尋ねる項目があったりする(もちろん統計目的)。ここで日本の場合を考えてみると、例えば住民登録する際に「あなたは日本人ですか、異なる場合には下記から当てはまるものに○をつけて下さい」などという質問をまず見ないことを考えると、海外からの移民が英国においてどれだけ身近なものなのかということが、上の例から分かると思う。

 前置きが長くなったが、この英国における人種区分が、日本人的には興味深くもあり、また戸惑うものでもある。こちらのサイトで、その英国での標準的人種区分が載っているので、お時間があれば覗いてみて欲しい。

 日本はアジアに属している。これが日本人なら誰でも学校で習う、地理的常識である。

 これが英国ではちょっと違う。正確に言うと、「アジア」という言葉の用法がどうも日本のそれと異なるようなのだ。

 一般的な日本人が先の区分リストを上から順番に見ていくと、日本人に当てはまりそうな区分がいま一つ見つからない筈だ。「もしかして、'All Other Asian background'?」と思ったあなた、残念ながらそれは間違い。「中国と一緒にされるのも何なんだけど…、'CHINESE or OTHER ETHNIC GROUP'かも?」と首をかしげるかもしれないが、それも違う。
 日本人は'NOT STATED(その他)'の区分に入ってしまうのである。

 極端な話、英国にとってのアジアとはインド亜大陸(インド・パキスタン及びその周辺国)で、東アジア(日本含む)及び東南アジアは、アジアとは見なされていないのだ。少なくともこの区分からはそう解釈できる。

 私が英国で受けたカルチャーショックの一つが、この「アジア」という言葉の用法だった。

 確かに、歴史的背景からインド・パキスタンからの移民が総移民数に占める割合は高いと思うし、多くの2世・3世達はもはや移民ではなく、インド・パキスタン系英国人として生活している。また、つい近年(1997年)まで香港が英国統治下にあったことから、中国系移民の数も多い。どんなに田舎の町に行ってもインド料理屋と中国料理屋はフィッシュ・アンド・チップスの店と並んで見つけることができる(笑)ことからも、これら国々からの移民が地元民身近なものとなっていることが覗えるし、よって専門区分が出来たというのもうなずける。

 それにしても、日本人はアジア区分に入らないとは…と、何だかまだ釈然としない気がするが、ここで気がつくのが、テレビやラジオの日本や韓国等に関する話題では、「アジア」ではなく「極東(Far East)」という言葉を使っていることだ。個人的にFar Eastという言葉には、’どこか分からないけれど、とりあえず遠い東の方’という響きを感じる(同時に目も遠くなる)。中世ヨーロッパで描かれた世界地図で、図の端の方に竜が描いてあったりするが、その竜のいる辺り、というイメージだ(笑)。
 だから日本製品や日本車が周りにあっても、市民の意識レベルでは、日本という国は’どこかとても遠くの東の方(Far East)’だから、関心にも霞がかかってしまったりしないだろうかと、日本人としては心配だったりもするのだが。

 もちろん、英語におけるAsiaという言葉の定義自体は、日本人が学校で習うアジアを指すものだ。しかしこの人種区分リストの例のような、言葉の実際の用法を見てみると、英国人の意識における「アジア」、また英国における地政学的「アジア」はどこか、ということが歴史的背景も含めて透けて見えてきて、とても面白いと思う。
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