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シープ・アタック!

 朝、起き抜けにふとお向かいさんの方を見ると、羊だらけ↓だった。

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  金曜日の朝のことである。
羊がいる敷地は個人宅の敷地であって、牧羊場ではない。だが両隣の敷地がナショナル・トラスト(National Trust)の管轄地で、羊が放牧されている。どうもその敷地との境のどこかから、羊が侵入してしまったらしい。

 羊というのはおかしな生き物で、一頭が鳴くと他の羊も鳴き始めるし(英語では羊は「バァーッ!」と鳴く)、一頭がどこかに行くと他の羊達もついて行く。今回も最初の一頭が侵入口を見つけて入ってしまったのを、他の羊達が後をついて行った挙句、お向かいさんが羊だらけになってしまったと思われる。

 そしてこの有様。
20070106205554.jpg 人様の庭に堂々と…
20070106205804.jpg 君達、ガーデン・テーブルにも登ったのか?!

 お向かいさんはちょうど留守にしていたため、この緊急事態には我々が対処することになった。どうやら何かの拍子で境界の塀の扉が開いてしまったらしい。そちらに向かって羊を誘導する。なんだか牧羊犬になった気分。面白いのが、羊達が帰る方向を覚えているらしいこと。羊なりにも、禁断の芝生の味が後ろめたかったのか、あるいは単に元の場所に戻りたかっただけなのかは分からないが。
20070106211154.jpg 隣の芝生は確かに青かったけど…
20070106205208.jpg やっぱり元の場所の方が落ち着くみたい

 しかしここで問題発生。一頭が背中を下にして地面に転がったまま(見づらい写真ですが一応リンク先に載せておきます)で、どうも調子が悪そうなのだ。調べてみるとこのような状態の羊を'cast sheep'と言うらしい。和訳しづらい言葉だが、要はこのように地面に転がった状態で起き上がれない羊のことである。なんと、平地で一度背中を下にして転がってしまうと、彼らは自力で起き上がれないのだ。なんでも、羊は元来丘陵地で暮らしていたため、斜面では自動的に転がって起き上がれていたのが、平地ではそれができないためだとか。信じがたいような話である。しかし実際に目の前に一頭、その有様でいるのだから本当なのだろう。
 また更に信じがたいことだが、羊がこの状態になると、苦しんだ挙句に比較的短時間で死んでしまうらしい(えぇ~)。羊は極端な低血圧で、逆さになると血流が行き渡らなくなるからだ。
 「カスト・シープ」は特に冬場の分厚いウールを着込んでいる羊や、妊娠中の羊に起こる危険性が高いとか。更に自重が重くなって、起き上がるのがもっと難しくなったり、バランスを崩して転がりやすいからだろう。

 目の前で起き上がれなくなって苦しんでいるのは、まさしく真冬のウールに包まれて、なおかつ妊娠中の、真ん丸く重くなったメスの羊である。早く起こさないと死んでしまう…。

 ここでシープ・ドクター登場。
…もとい、写っているのは羊の(お腹の子羊共々)命を救った夫である。単によっこらしょ、と羊をひっくり返しただけなのだが、やけに得意げである(笑)。羊が落ち着くまで15分程なだめてやると、その後無事に他の羊と同様、元の牧羊場に向かって帰っていった。
20070106205505.jpg

 結局その日は重役出勤。羊の命を救っていたからとは、田舎暮らしならではの遅刻の理由である。
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